祇園福寿さんで味わう“季節会席”──職人の技が光る至福の時間
祇園福寿さん
祇園の静かな通りに佇む「祇園福寿」さんへ友人夫妻との会食で伺いました。
毎回感じるのは、“季節が変わると料理も変わるのは当然ですが、例えば1週間後にお伺いしても、料理を変えて頂ける店”だということ。
今回も期待を超える素晴らしい時間でした。
前菜:手仕事の美しさが光る前菜三種
最初に登場した前菜は、小さな器に丁寧に盛り込まれた三品。
胡麻豆腐のなめらかさ、季節野菜の和え物、揚げ物の香ばしさ。
どれも味わい深く、最初のひと口から料理人の技を感じます。
器の選び方も秀逸で、京都らしいおもてなしが伝わる一皿です。

椀代わりの土瓶蒸し:香り立つ出汁の贅沢さ
秋の名物・土瓶蒸しは、卓上に置かれた瞬間から湯気とともに良い香りがふわりと広がります。
松茸の旨み、鶏のコク、出汁の清らかさ。
“飲むたびに体が整うような感覚”があり、季節の恵みをそのままいただいている贅沢な一品です。

向付:鮮度が際立つ盛り付け
紅葉柄の器に盛られたお造りは、まさに秋の風景そのもの。
中トロの旨み、ヒラメの透明感のある身と繊細な味わい、そして巻物まで抜かりのない仕事ぶり。
ひと切れごとに鮮度の良さが伝わる、満足度の高い一皿でした。

焼き物:香ばしく焼き上げた子持ち鮎
香ばしい香りが鼻先にふっと届く子持ち鮎は、身の締まり、旨みの凝縮、塩加減のすべてが絶妙でした。
素朴でありながら、和食の奥深さを感じられるお料理です。
器も味わい深く、盛り付けの美学が息づいています。

和え物:素材を引き立てる軽やかな味
続く小鉢は、蟹の和え物。
食感のコントラストが心地よく、口の中がすっとリセットされるような上品な仕上がり。
会席料理の流れを美しく繋ぐ役割を果たしていました。

煮物:出汁の美しさが際立つ逸品
黒地に銀彩が映える椀に盛られたのは、魚と青菜、そしてふっくら餅。
出汁の香りが立ちのぼり、口に含むと柔らかい旨みが広がります。
“京都の椀物は出汁で語る”と言われますが、まさにその言葉通りの完成度。

強肴:揚げ豆腐と雲丹の組み合わせ
揚げ豆腐の上に雲丹がのった一皿は、見た瞬間から心が弾む贅沢な構成。
濃厚さと上品さのバランスが絶妙で、わさびが味わいに締まりを与えています。
特別な日の料理にふさわしい、印象深いひと皿でした。

酢の物:透明感ある味わいで締めへ
コース終盤には、つるりとした食感の酢の物が登場。
黒酢のまろやかな酸味が心地よく、後口をすっと整えてくれる爽やかな一品。
最後まで丁寧な仕事が続きます。

ご飯と味噌汁:日本の“ほっとする時間”
締めは炊き込みご飯と味噌汁
具材の旨みがしみ込んだご飯は、ほっと安心する味。
味噌汁の香りに包まれながら、コースの余韻をゆっくり味わえます。

デザート:くずきりは織部の鉢に煎茶箸

祇園福寿さんは、何度訪れても新しい発見があるお店
今回も季節を映した見事な料理構成で、「また季節が変わったら訪れたい」と思わせてくれる時間でした。
丁寧な手仕事・器の美しさ・食材の選び方・静かで心地よい空間、
どれをとっても、祇園福寿さんならではの魅力。
京都で上質な会席料理を楽しみたい方に、心からおすすめできる名店です。
関連情報
晴れの日のハレ箸 - 箸や楓 (hasiyakaede)
「衣服に晴れ着があるように、お箸にも晴れの日に使う晴れ箸」があってもと考えています。日本には、お正月にはじまりクリスマス、その他にも誕生日、結婚記念日など、それぞれの晴れの日が考えられます。箸や楓の思いは、普段着と晴れ着があるように、箸にも普段使いの箸とそんな晴れの日に使う「ハレ箸」があってもよいのではということです。
| 屋号 | 箸や楓 |
|---|---|
| 住所 |
〒605-0826 京都府京都市東山区桝屋町362番地12 |
| 営業時間 | 11:00~17:00 |
| 定休日 | 木曜日 |
| 代表者名 | 橋本 良介 |
| info@hasiyakaede.com |